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特殊鍼灸治療で使う鍼

大鍼(だいしん)

当院で最も多く使用する鍼です。

素材は金のものを使用します。

 

大鍼は、文字通り大きい鍼で、こちらを刺して使います。当院で主に使用する大鍼の太さは0.6~1.2ミリ。材質はステンレスと金とがあります。先端は員利鍼よりも鈍いので、硬いコリ(皮膚に対して盛り上がっている山)を砕くことよりも、押すと柔らかいツボ(山に対して谷と呼びます)にエネルギーを集める場合に使用します。

こちらは、鍼の技術でいうところの補法(ほほう)に使っています。

金は、ステンレスよりもエネルギーを集める特性がありますので、材質で鍼を使い分ける場合があります。また、鍼管(しんかん)を用いる場合と、鍼管を用いないでシュッと瞬間的に刺す場合があります。

 


毫鍼(ごうしん)

『はり治療』といえば

皆さん

この鍼をイメージされます。

標準の長さは3~5センチ

太さは0.16~0.26ミリで

鍼の先は松葉型という

特殊な形をしています。


ざん鍼(ざんしん)

刺さらない鍼の一つ。

スプーンのような形状をしています。

体表の熱を取ったり

小児鍼(しょうにはり)に用います。

先端の鋭い部分で

「散気鍼(さんきしん)」として

凝り固まった部分を叩打(こうだ)すると患部が緩みます。

また

熱を取るときは皮膚に軽く当てて

パタパタと扇ぐように使用します。

アトピー性皮膚炎の患部にも有効です。


調気鍼(ちょうきしん)

こちらも、刺さらない鍼の一つ。

ざん鍼と同じように体表の熱を取ったり

小児鍼に用います。

ざん鍼よりも軽く薄いため

刺激を更に軽くしたいときに使用します。使い方や作用はざん鍼と同じです。


員鍼(えんしん)

こちらも、刺さらない鍼の一つ。

ざん鍼と同じように体表の熱を取ったり

小児鍼に用います。

ざん鍼よりも軽く薄いため

刺激を更に軽くしたいときに使用します。使い方や作用はざん鍼と同じです。


火鍼(かしん)

こちらは刺さる鍼です。

文字通り『焼いて』から刺します。

文字で表すと恐ろしく感じますが

火で熱して金属が赤くなっている瞬間に

刺すだけです。

非常に強いコリや

非常に強い冷えにより硬くなった箇所に使用します。

作用は透熱灸(とうねつきゅう)に

似ていますが

ヤケドなどの痕が残ることは

ほとんどありません。

刺して瞬間的に抜く場合と

刺したまま放置(置鍼:ちしん)することがあります。

火テイ鍼や三頭火鍼もありまして、ほくろやシミなど美容の施術にも使用します。


打鍼(だしん)

打鍼は、刺さらない鍼と刺さる鍼があります。そして、小槌(こづち)と鍼を同時に用います。

金づちと釘のような見た目ですが、痛みはありません。マイルドに「コンコン」と叩いたり、鍼を軽く皮膚に接触させることで、症状に変化を起こします。

当院では、打鍼を用いるときは、刺さらないものと刺さるものとを使い分けています。


巨鍼(こしん)

長鍼よりも長く太い、刺さる鍼です。めちゃイケで加藤さんに使用したのもこの巨鍼。

当院で主に使用する巨鍼は、太さが0.6~0.8ミリ、長さは20~30センチくらいあります。長鍼と同じく、皮膚に対し平行に連続したコリ、かつそれが硬く長い状態に使用します。


長鍼(ちょうしん)

刺さるはり(鍼)です。文字通り長い鍼です。画像の中で一番短い鍼です。毫鍼(ごうしん)の長い物を指します。当院で主に使用される長鍼の長さは2寸5分のものです。太さはが多いです。毫鍼(ごうしん)は和鍼(わしん:日本の鍼、トントンと叩いて皮下に刺すことが多い)においてはほとんど鍼管(しんかん:鍼をトントンと叩くための細い管)を使用しますが、長鍼では長さに合う鍼管が無いので中国鍼(ちゅうごくしん:中国の鍼。和鍼との大きな差は持ち手の形状。太さは和鍼と現在では変わらないです)を刺すときのようにシュッと瞬間的に皮下に刺入します。痛みはありません。多くの場合、皮膚に対し平行に連続した長いコリに使用します。


挫刺鍼(ざししん)

日本で生まれた刺さる鍼です。この鍼の歴史は短めですが、最新型とも言えます。

形状を見ていただくと、鍼の長さは短く、先端部分が曲がっています。

見た目はちょっと恐いのですが、想像よりは痛くありません。

皮下に刺した後、鍼の先端の向きを変えて皮下組織の繊維にひっかけて使います。そのまま鍼を抜きますので、皮下組織の繊維が少し切れます。

こちらは、比較的浅くて硬いコリや局所的に繊維化した硬さなどに有効です。普通の鍼では味わうことのできない爽快感をもたらします。


員利鍼(えんりしん)

こちらは刺さる鍼です。マチ針のような形状で、先端が鋭く、非常に硬いコリに対して用います。

痛いかどうか気になりますか…?

実は、この鍼は痛いです。

使用する際には「その非常に硬いコリが症状の原因」と判断でき、その『コリが取れて症状が軽減すること』と『鍼を刺す痛み』を天秤にかけて、使うかどうか判断します。痛い鍼はできるだけ避けたいですからね。

ただ、この鍼の即効性はかなりのもの。一旦この効果を味わうと「痛くて嫌なんだけどあの鍼をしてくれ」という方が後を絶ちません。


三稜鍼(さんりょうしん)

三稜鍼は、皮膚表面に鍼先が当たるように使用します。

当たるのは一瞬なのでチクチクとした感じがするだけで、痛くはありません。この鍼は『刺絡鍼法(しらくしんぽう)』に用います。

刺絡と瀉血とは、よく混同されますが似て非なるものです。

刺絡とは、浅く刺し少量の血液を放出することで、気血等の循環を促すもの。悪い血を出すというよりは、「良い血だけどバランスを整えるために出てもらう」というイメージです。量も数cc程度で、瀉血のように大量に血を取り出す必要がありません。


てい鍼(ていしん)

刺さらない鍼の代表格です。細い方を『てい鍼』として使用し、太い方を『員鍼(えんしん)』として使用します。「身体のツボに接触させるだけの鍼」とイメージしてください。指圧のように押すわけではなく、軽く接触させるだけで患部の症状を改善させる力を持っています。

画像は『員てい鍼(えんていしん)』で、員鍼+てい鍼として使用可能な鍼になります。


皮内鍼(ひないしん)円皮鍼(えんぴしん)

刺さらないはり(鍼)と刺さらないはり(鍼)があります。刺さらない物は金属の粒はテープの皮膚接触面に付いています。刺さるものは鍼の長さ0.3ミリから1.5ミリと種類があります。テープの先に鍼や粒が付いています。通常3,4日皮膚に貼りつけたままにします。生活は特別に配慮をすることはありません。強いて言うならば強くこすったり、汗をかいたりしますとテープが剥がれてチクチクするかもしれません。貼っている間にかゆみ、痛みなど何か異変を感じましたらすぐに剥がしてください。皮内鍼や円皮鍼を置き鍼と呼ぶ方もいらっしゃいますが置鍼(ちしん:鍼を刺したまま時間を置くこと)とは区別して呼ぶ必要がります。